この女優の演技を観ろ!  関口蒼 光る鯨

映画

行方不明になった大切な幼馴染の行方を追って、《異世界エレベーター》を通じてパラレルワールドへ足を踏み入れていく主人公の成長を描いたSFヒューマンストーリー『光る鯨』。この映画で主演を務める関口蒼はどこにでも居る不器用な感じのある女の子を見事に演じている、俳優以外ではかってダンス&ボーカルユニット「TEMPURA KIDZ」ダンサーとしての活動をしていて、ユニットを抜けてからもダンサーとしての活動がメインらしいが、これからも演じる彼女を観てみたいという気持ちにさせる。

インターネット掲示板で拡散された都市伝説「異世界エレベーター」を題材に、築50年の都営団地を舞台に1冊の小説「光る鯨」を巡って織りなされる物語を描いたSFヒューマンドラマ。

コンビニでアルバイトをしている志村イトは、失踪した幼なじみの新進小説家・高島はかるの行方を追って幼少期に住んでいた都営団地を訪れる。老朽化したエレベーターに乗り、現実世界に似ているが全く違う異世界=パラレルワールドに足を踏み入れたイトは、そこで現実世界から消えてしまった人たちと再会するが……。

関口蒼インタビュー

イトは23歳で、私と同い年です。現代を生きる23歳の女性の多くが抱えているであろう葛藤や不安は、当然私の中にもあります。また、私自身もイトと同じように中学生・高校生の頃は寡黙で、当時はなかなか人に心を開けない状態でした。

今でも自分の心の根っこにある、孤独や寂しさのような感覚に近しいものは、イトにも感じていました。脚本を読み進めていった時も「10代の頃の、人に心を開くのが苦手だった自分」を自然と思い返しました。

だからこそ、今回の『光る鯨』で「役作り」以上にも私が大切にしたかったのは「目の前の共演者の方々と、いかに向き合うか」ということでした。

私が受けている演技レッスンでは、目の前の俳優さんと数ページの脚本について深く話し合う時間があるのですが、その時間が本当に大切だと常々感じています。目の前にいる方はどんな俳優であり、どんな人間なのか。同じ時間を共にする相手について、肌感覚で知っているのと知らないのとでは、お芝居の質は大きく変わってしまうからです。

本作の撮影でも、イトの幼馴染・はかるを演じた佐野日菜汰さんとは、役として日常会話のやりとりをさせてもらいました。またイトが心を開ける数少ない人間である千石役の影山祐子さん、イトの姉役の中神円さんとはお食事をご一緒したり、密にコミュニケーションをとらせていただく中で、役の関係性に似た感覚と距離感を日常生活でも感じられるように心がけました。

そうして実際に目の前の方と交流を図ることで、私自身も役を生きる上で心を開きやすくなり、ある意味安心して色々な挑戦ができるんです。もちろん、そこまで時間的に余裕のない現場もあるので、その場合にどう対応するかはまだまだ勉強中なんですが(笑)。

ただお芝居をする際にはどんな時でも、私は実際の目の前の方との関係や、その方から感じるものを大切にしたいと考えています。そこで得られた距離感や感覚が、そのままお芝居に反映されていくと信じています。

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